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意中の建築 上巻 大型本 – 2005/9/21
中村 好文
(著)
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- 本の長さ142ページ
- 言語日本語
- 出版社新潮社
- 発売日2005/9/21
- ISBN-104104350044
- ISBN-13978-4104350049
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登録情報
- 出版社 : 新潮社 (2005/9/21)
- 発売日 : 2005/9/21
- 言語 : 日本語
- 大型本 : 142ページ
- ISBN-10 : 4104350044
- ISBN-13 : 978-4104350049
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- - 406位住宅建築・家づくり (本)
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上位レビュー、対象国: 日本
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2015年10月5日に日本でレビュー済み
建築家の著者が感銘を覚えた、あるいは強い影響を受けた古今東西の建築・建築家を上巻12、下巻13、合わせて25作品で紹介した本。写真・著者によるイラスト・文章が渾然一体となって滋味あふれ、豊かな気分に浸れる好著。
建築家というのは権力と大企業に奉仕する存在と思っていたが、著者の方向性はかなり違う。それは冒頭に千代田生命本社ビル/村野藤吾を取り上げたことでもわかる。
村野は私でも名前くらいは知る「昭和を代表する建築家」で、都ホテルや日生劇場で有名だが、最近読んだ新聞記事によると、無機質なモダニズムに背を向けて「生身の人間を包む器」としての建築を追求し、時流に乗らなかったので建築界から白眼視されたらしい。
著者はそのような建築家を選び、ディテールに眼を向け、「オーラがある。その空間に身をおいて感じる愉悦がある」という。偶然目撃した、職人と一緒に汗して働く村野の描写が印象的で、権威主義のかけらもない人柄が偲ばれる。
本書のラインナップは、学校・図書館・廃墟・教会・墓地・刑務所というように建築に人間の多様性を見る感覚があり、それを反映した感性豊かで好奇心にあふれた文章がとてもいい。各建築家と設計コンセプトの考察は、村野の項で見るように人間臭くて興味深い。タルコフスキー、檀一雄、「第三の男」を取り上げるなど文学愛・映画愛があふれているのもいい。
本書で印象に残った建築・建築家を紹介すると・・・
・閑谷(しずたに)学校、1670年、備前市。静かな谷間に建てられた庶民も学べる岡山藩の藩校。水成岩で構築された蒲鉾形の石塀(せきへい)が素晴らしく、建築群からは教育への真摯な情熱が気迫となって発散している。
・母の家/ロバート・ヴェンチューリ、1962年、フィラデルフィア。「すかっと小綺麗でかっこいい」モダニズムとは対極的な、多様性(と曖昧さ、不統一感)あるデザイン。
・カステルヴェッキオ美術館/カルロ・スカルパ、1964年(原建築は14世紀)、ヴェローナ。素晴らしい雰囲気の空間。スカルパは著者が敬愛し私淑する名匠。「体温と呼びたくなる温もりが感じられ、静寂の中に沈黙の音楽が流れている」
・オタニエミ・チャペル/ヘイッキ&カイヤ・シレン、1957年、フィンランド。簡素にして繊細・清楚。限りなくシンプルな祭壇と説教台の背後のガラス壁を通して、森を背景として草地に立つ十字架を見る。独創的。
建築家というのは権力と大企業に奉仕する存在と思っていたが、著者の方向性はかなり違う。それは冒頭に千代田生命本社ビル/村野藤吾を取り上げたことでもわかる。
村野は私でも名前くらいは知る「昭和を代表する建築家」で、都ホテルや日生劇場で有名だが、最近読んだ新聞記事によると、無機質なモダニズムに背を向けて「生身の人間を包む器」としての建築を追求し、時流に乗らなかったので建築界から白眼視されたらしい。
著者はそのような建築家を選び、ディテールに眼を向け、「オーラがある。その空間に身をおいて感じる愉悦がある」という。偶然目撃した、職人と一緒に汗して働く村野の描写が印象的で、権威主義のかけらもない人柄が偲ばれる。
本書のラインナップは、学校・図書館・廃墟・教会・墓地・刑務所というように建築に人間の多様性を見る感覚があり、それを反映した感性豊かで好奇心にあふれた文章がとてもいい。各建築家と設計コンセプトの考察は、村野の項で見るように人間臭くて興味深い。タルコフスキー、檀一雄、「第三の男」を取り上げるなど文学愛・映画愛があふれているのもいい。
本書で印象に残った建築・建築家を紹介すると・・・
・閑谷(しずたに)学校、1670年、備前市。静かな谷間に建てられた庶民も学べる岡山藩の藩校。水成岩で構築された蒲鉾形の石塀(せきへい)が素晴らしく、建築群からは教育への真摯な情熱が気迫となって発散している。
・母の家/ロバート・ヴェンチューリ、1962年、フィラデルフィア。「すかっと小綺麗でかっこいい」モダニズムとは対極的な、多様性(と曖昧さ、不統一感)あるデザイン。
・カステルヴェッキオ美術館/カルロ・スカルパ、1964年(原建築は14世紀)、ヴェローナ。素晴らしい雰囲気の空間。スカルパは著者が敬愛し私淑する名匠。「体温と呼びたくなる温もりが感じられ、静寂の中に沈黙の音楽が流れている」
・オタニエミ・チャペル/ヘイッキ&カイヤ・シレン、1957年、フィンランド。簡素にして繊細・清楚。限りなくシンプルな祭壇と説教台の背後のガラス壁を通して、森を背景として草地に立つ十字架を見る。独創的。
2005年10月19日に日本でレビュー済み
住宅巡礼と同様に面白い本ではあるがなんとも価格が高すぎる。若い世代や一般のひとにも建築の面白さを広げたいと考えるならこの価格はアウト。上下巻で6000円は読者側の目線ではない。欲を出しすぎー!